ホタテの貝毒について

ホタテの貝毒について
2025年6月17日

毒と聞くと怖く感じられるかもしれませんが、私たちがお届けするホタテは、そのような危険がないことをしっかり確認してから出荷しています。

貝毒が検出されると殻付ホタテを出荷停止します。(貝柱は貝毒の影響を受けない部位のため、貝柱商品は通常通りお届けしております
毎年この時期になると、貝毒の検査結果とにらめっこしながら、「いつ出荷できるかな」と、やきもきしているのが正直なところです(笑)。

今年は、すでに3度目の貝毒による出荷規制の真っ最中です。

「貝毒ってなに?」
「食べても大丈夫なの?」
「どの部位が影響を受けているの?」
という不安にお応えするために、貝毒の特徴と監視体制についてご案内します。

貝毒とは?

貝毒とは、主に二枚貝が毒素をもったプランクトンを餌として食べることで体内に毒が蓄積される現象です。
岩手県では春から初夏にかけて多く検出されます。

毒性は症状によって「麻痺性貝毒」と「下痢性貝毒」の2種類があります。

ホタテに限らず、食用として出荷されるすべての貝類には、定期的な「貝毒検査」が義務づけられており、少しでも基準を超えた場合は出荷停止となります。

毒化するのはプランクトン食性の二枚貝類(アサリ、ホタテガイ等)と一部の甲殻類に限られ、サザエ・アワビなどの巻貝類は毒化しません。

よくいただくご質問

Q:毒がたまりやすいのは、どの部位ですか?

貝毒がたまりやすいのは、「中腸腺(ちゅうちょうせん)」という内臓の部分です。これはウロとも呼ばれる部位で、通常は食用にしていません。
貝ひも(外套膜)」はウロに近い部位のため、ごくわずかに貝毒が検出されることがあるため、規制中は出荷も加工もしておりません。

一方、「貝柱」には貝毒は蓄積しないことが確認されていますので、貝柱は通常通りお届けしております。

ホタテ海の部位 ウロ、貝柱、貝ひも

Q:加熱すれば安全ですか?

貝毒は加熱しても弱くなりません。
薬味と合わせても分解されません。

Q:一度貝毒が蓄積した貝はもう食べられないのですか?

いいえ、一度貝毒が蓄積したホタテでも、餌となる毒性を持ったプランクトンの発生がおさまれば自然に体内から毒が抜け、再び食べられるようになります。
毒が抜けたかどうかは、定期的な検査で確認されます。

Q:貝毒になるのはホタテ貝だけですか?

当店で取り扱っている「ほや」も貝毒の検査を行っております。
ホタテと同じプランクトンを食べるため原因は同じですが、ホヤの方が毒が抜けやすい傾向にあるため、出荷規制は短くなりがちです。

アワビなどの巻貝類は毒化しません。毒化するのはプランクトン食性の二枚貝類(アサリ、ホタテガイ等)と一部の甲殻類に限られます。

岩手県におけるホタテの貝毒検査体制

岩手県では沿岸を12の海域に分け、ほぼ毎週、ホタテなどの貝類を採取して検査を行っています。
県漁連と水産技術センターが連携し、それぞれ貝毒の有無と毒の原因となるプランクトンの発生状況を定期的にモニターしています。
春から夏にかけては特に貝毒が出やすい時期とされており、検査頻度も高まります。

貝毒検査の結果、国の基準値を少しでも超えたら、即出荷ストップです。
出荷再開が許されるのは、「検査で3回連続、基準を下回った場合」のみです。

貝毒検査の結果、可食部の毒量が一定の値(麻痺性:4.0MU/g(可食部)、下痢性:0.16㎎OA当量/㎏(可食部))を超えた場合出荷自主規制となります。

これは、私たちヤマキイチ商店も含め、どのお店・加工場でも同じです。

検査の内容や結果は、岩手県漁連のウェブサイトなどで毎週公開されており、検査の結果をもとに
出荷の可否が判断されます。

このような厳格な基準のもと、安全が確認されたものだけを出荷していますので、ご安心ください。

<参考>